研究課題/領域番号 |
20046016
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小野田 繁樹 独立行政法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 専任研究員 (70455335)
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研究分担者 |
古崎 昭 独立行政法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 主任研究員 (10238678)
桃井 勉 独立行政法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 専任研究員 (80292499)
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キーワード | 強相関電子系 / 磁性 / 強誘電性 / スピン液体 / 磁気強誘電性 |
研究概要 |
局在した電子のスピンの間にはたらく交換相互作用が、強くフラストレートした三角形構造で構成される1次元的・2次元的物質に対し、その極低温で予想される物性について、有効模型を用いた理論解析を行った。特に、Cu^2+イオンの電子スピンから構成される1次元的物質の場合、スピン軌道相互作用を通じて強誘電性をもたらす、ベクトル・スピン・カイラリティーのみが秩序化する可能性を提案した。さらに、弱い3次元性の効果がある場合には、螺旋磁気秩序が実現する。また、スピン・カイラリティーの励起はテラヘルツ領域の誘電応答から観測することが可能であり、この系で観測されうる励起として横波の電荷ソリトンモードが存在することを示した。螺旋磁気秩序相から温度を上げると、円状の螺旋秩序からこれを一方向に射影したサイン波的反強磁性秩序がスピン揺らぎによって誘起され、さらに高温にすることで常磁性相へと転移することを示した。また、1次元のカイラル秩序は磁場によって強められ、さらに強磁場領域において、スピンの方向だけが最も秩序化しようとする振る舞い(ネマチック秩序)が生じることを数値的に示し、その機構を解明した。また、反強磁性交換相互作用で結合した2次元三角格子上の古典スピンに対して同様の理論研究を行った。この場合、スピン-格子相互作用が強くなると、有限温度でカイラル・ネマチック秩序が生じることを明らかにした。また、高温から温度を下げるとともに、常磁性相から、カイラル相、カイラル・ネマチック相、120度構造の反強磁性相へと順次相転移することを示した。
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