研究課題
本研究は、最も重要な圧電体でありながらこれまで単結晶合成の難しさから多結晶体での研究に限られていたPb(zr, Ti)O_3[PZT]の研究について、申請者が世界で初めて合成に成功したPZT単結晶を用いた人工モデル粒界を作製し、ナノドーパントの圧電特性に及ぼす効果をin-situで解明することを目的としている。基礎実験として、本年度はまず分極軸配向PZTの特性評価を行った。その結果、新規に開発したCaF_2を基板上に高品質な膜合成が可能な有機金属化学析出(MOCVD)法を用いることで作製したPZT膜について、以下の結果を得た。1. 膜厚3μmまで、残留歪が非常に小さな膜であることがわかった。2. 得られた膜には電極との界面にデッドレイヤの存在が示唆されたが、それを考慮して見積もっても膜の比誘電率は、理論で予想されたものと良く一致していた。3. 得られた膜の圧電性や電歪係数も、これまで理論で予想されたものと良く一致していた。以上の結果から、今回作製した膜は、PZT単結晶で予想される特性がほぼ発現していることが明らかになった。従って、この分極軸配向PZTに添加物(ナノドーパント)を導入することで、ドーパントの効果を明らかにする準備が整ったといえる。また評価方法としては、シンクロトロンXRDを用いた電界下の結晶の格子定数変化を見積もる圧電性の評価に加えて、操作型プローブ顕微鏡を用いた方法と、ラマン分光法を用いた方法の2つについても電界印加下での測定方法を確立した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (9件) 備考 (1件)
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