研究課題
本研究は、ブロックコポリマーのミクロ相分離によるナノメートルスケールの高規則性ナノ構造を鋳型(テンプレート)とする金属ナノ構造の作製プロセスを開発することを目的とする。ナノ規則構造の高密度化によって飛躍的な高機能化が期待される冷陰極アレイ、情報記録メディア、ナノ電極あるいは光触媒の基本部材開発をめざし、この高分子ナノ構造をテンプレートとする金属または金属酸化物のナノ構造転写・複合化プロセスを開発した。(1)酸化ルテニウムナノロッドの作製:ミクロ相分離構造薄膜を四酸化ルテニウムの水溶液の蒸気に晒すと、数分以内にPEOシリンダーに選択ドーピングされる。さらに、この膜を60kV電子線照射することにより、高さ数十ナノメートルのRuOxナノロッドアレイが基板全面に作製でき大面積かつ超高密度の冷陰極部材として、真空"ナノ"エレクトロニクスへの展開が期待される。(2)鉛ナノロッドアレイの作製:ミクロ相分離構造薄膜に四フッ化ホウ素鉛のアルコール溶液を滴下し、洗浄後、電子線照射によって、基板全面に規則的に配列した鉛ロッドアレイが作製できた。(3)酸化チタンナノワイヤの作製:ミクロ相分離構造薄膜を四塩化チタンの蒸気に晒し、加水分解、さらに焼成によって、数ナノメートルのナノ粒子が"数珠"状に連なったワイヤが絡み合った構造が基板全面に作製できた。これは、比表面積の大きな光触媒や色素増感太陽電池の高効率電極への応用が期待される。以上、両親媒性液晶ブロックコポリマーの特異なミクロ相分離構造、垂直配向ナノシリンダーアレイ構造をテンプレートとする転写複合化プロセスを開発し、材料適用範囲の広い金属および金属酸化物のナノ規則構造の作製に成功した。今後、作製プロセスの最適化と各ナノロッドの単結晶化や配向制御を検討することにより、自己組織化プロセスを利用した量産性に優れた電子材料への応用展開が期待される。
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Electrochemistry 77(3)
ページ: 214-218
Jpn.J.Appl.Phy 48(6, Pt.2)
ページ: 06FE08/1-06FE08/4