CNTをフレキシブルなエラストマーに高均一に添加したナノコンポジットを用いて1V/μm以下の低閾値電界と10mA/cm^2を越える高い飽和電流密度を同時に実現するために、ナノコンポジットのナノ界面構造がフィールドエミッション特性に及ぼす影響を詳細に調べた。特に電界分布の精密なシミュレーションを実施して電子放出にかかわる重要因子を特定するとともに、これら成果に基づいてフィールドエミッションデバイスの最適設計を行った。具体的な成果は以下のとおりである: フィールドエミッション特性の最適化 本年度はデバイス動作時の電界分布を明らかにするために有限要素差分法で高電圧印加時の電界分布を調べ、CNT/エラストマー膜厚が200μm以下が最適であること、対向したエミッタ間の距離が5mm以下の場合に高均一に蛍光体を励起できることが明らかになった。 フィールドエミッションデバイスの試作と素子特性 フィールドエミッションデバイス電流・電圧特性のFNプロットより、絶縁スペーサー距離によってCNT/エラストマーシート端面での電界集中状態が変化することが明らかになり、1mmのスペーサー厚が最適であることことが明らかになった。以上の結果より単位面積当たり3万カンデラを超える世界最高水準の高輝度発光を実現した。
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