核融合炉のプラズマ対向壁内のトリチウムは、その多くが表面付近に存在する。この様な表面のトリチウム密度分布を知ることは核融合トリチウムの安全評価の観点から重要である。それゆえ、固体表面のトリチウム保持量の絶対測定法が必要である。 核融合炉のプラズマ対向壁表面のトリチウム保持密度深さ分布の高精度な測定法の開発として、DT核反応を利用した核反応分析法(DT-NRA)高精度化を目指している。平成20年度は、チタン薄膜に吸蔵した高純度トリチウム試料(固体)を試料に用いたTOF-NRAの基礎実験を原子力機構核融合中性子源施設FNSで実施した。DT核反応の放出粒子である3.5MeVアルファ粒子と14MeV中性子のコインシデンス測定については、実験室の壁等から発生する散乱中性子成分の測定除去が問題であることが分かった。その対策としてナノ秒パルスイオンによる荷電粒子飛行時間差法も並行して実施し、中性子、アルファ粒子、パルスイオンビームの3重コインシデンス法が、散乱中性子の影響を抑制に効果的であることが明らかとなった。
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