JT-60Uトカマク装置において、(1)YAGレーザー光散乱測定を開始すると共に、(2)高速カメラによるダスト軌跡の測定を改良することにより、高閉じ込めプラズマ中を飛翔するダストの計測方法(運動の速度、粒子の大きさおよび存在密度の分布を数値化)を開発することが本年度の重要な目標であった.同時に、プラズマパラメータや配位の異なる放電の測定結果から、ダストが放出(発生)しやすい放電条件を明らかにすることも本年度の目的であった. (1)については、放電間のわずかな時間で交換可能な中性密度フィルターを製作しポリクロメータに装着し、YAGレーザー光散乱測定を開始した.プラズマ中を運動するダスト粒子の散乱光強度とプラズマ中心からスクレイプオフ層(SOL)までの広範囲の径方向分布を評価した. (2)については、視野の広い対物スコープを製作し運動するダスト粒子が発生する可視光の軌跡映像を高速カメラにより測定し、軌跡追跡を行うソフトウエアを導入し運動速度と方向を数値化し評価した. これらの計測結果から、(i)高電流プラズマのディスラプションの際、容器内へ非常に多くのダストが放出されること、(ii)特にその直後の放電では多くのダスト粒子がプラズマ中へ放出され、SOL領域の外側ほと強いダスト散乱信号が頻繁に観測されることを定量的に評価した.カメラ映像がとらえた主プラズマ中を飛翔するダストの多くはSOL領域に存在し、軌跡追跡から速度が0.1-0.5km/s程度であることが明らかとなった.これらのことから第一壁やダイバータ表面から放出されたダストはプラズマ境界に近づくにつれ昇華し、存在密度や大きさが小さくなることが明らかとなった.この他、現在、実験プラズマのモデル化を行いダストモデルと測定結果の比較を進めている.
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