今年度は、コンクリート試料(セメントペースト、モルタル、コンクリート)について、吸着・脱離試験を実施した。また、FT-IRを用いることにより材料表面におけるトリチウムの吸着状態を推察した。得られた結果は以下のようである。 1. セメントペースト、モルタル、コンクリート各種試料について、トリチウム水蒸気雰囲気下に曝露したところ、コンクリートは、1ヶ月程度で飽和に達したものの、セメントペースト、モルタルは、1ヶ月を超えても飽和に達しないことが明らかになった。吸着量については、セメントペースト>モルタル>コンクリートであった。 2. セメントペーストについて、窒素パージ、水蒸気添加(10000ppm)さらに昇温脱離試験を実施し、脱離挙動を取得したところ、窒素パージ、水蒸気添加による脱離量に大きな差は無く、また、化学形は水蒸気であったが、昇温することにより、800℃付近からトリチウム化メタンが説離してくることが明らかになった。 3. FT-IRによる試料表面における吸着携帯に関し観察したところ、重水曝露した試料は、初期に-ODピークが見られるが、大気に曝すことにより-ODピークが消失し、-OHピークが出現することから、重水曝露し、材料中に取り込まれた重水は、大気中の水蒸気と同位体交換することで、脱離することが推察される。 以上について、科研費会合や原子力学会(春の年会)にて、発表した。
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