本研究では、研究代表者が提案してきた和周波発生の理論を精密化し、より信頼性と実用性の高い理論解析方法を開発するとともに、それを界面系で実証する。本年度には、我々が提案し開発したcharge response kernel理論に分子振動を加えて拡張し、和周波分光の分子シミュレーションを行うための汎用分子モデルを開発した。それを用いて、硫酸水溶液などの電解質水溶液およびメチル基のC-H振動を表現できる分子モデルを求め、液およびでの分子シミュレーションを行ってその妥当性を確認した。とくにメチル基のC-H伸縮振動は、フェルミ共鳴を含めて多くの振動バンドが混在し、理論計算による解釈が求められていた。本分子モデルでは、メタノール液体を例にとってバルクの赤外、ラマン、および液体界面の和周波スペクトルを説明しうることを実証した。
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