研究課題
必須アミノ酸であるトリプトファンは、哺乳動物においては、2種の二原子酸素添加酵素(IDO:Indoleamine 2,3-dioxygenase、TDO: Tryptophan 2,3-dioxygenase)によって代謝される。これらの酵素は、鉄を活性中心に有しており、TDOは肝臓に、IDOは肝臓を除くすべての臓器に存在している。その化学反応の特異性と、生理的な重要さから非常に注目される酵素である。本年度は、共鳴ラマン分光法を用いて、IDOの鉄に酸素分子が結合した状態の鉄-酸素伸縮振動を567cm^-1に観測する事に成功した。二原子酸素添加酵素の酸素結合型は、基質と反応できる活性種であり、単寿命(半減期=数秒)であることから、今まで観測に成功していなかった。また、活性中心近傍の柔軟なループ構造に着目し、そのループを構成する残基(Ala260、Gly261、Gly262、Ser263、Ala264)の変異体を調製し、それらの酵素反応、特に基質結合を詳細に解析した。その結果、Gly261とSer263が基質を酵素反応に適した正しい位置に固定する上で重要な役割を果たしていることを明らかにした。酸素化型の分光測定の結果と合わせて、鉄一酸素一基質の相対的な配置がIDOの酵素反応特異性を決定していることが強く示唆された。一方、TDOへの基質(トリプトファン)の滴定に伴う共鳴ラマンスペクトルの変化を詳細に解析し、基質結合に伴うタンパク構造変化を明らかにした。さらに、TDOはホモ四量体であり、基質結合には協同性が存在する事を発見した。
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