研究概要 |
Ti : Sapphireレーザーの基本波(800nm, 200fs)をフォトニック結晶ファイバーに導入し得られたフェムト秒白色光を倒立顕微鏡に導き、油浸対物レンズを通して試料表面に集光する。試料からの後方散乱光を同じ対物レンズで集め、ピンホールを通した後にCCD分光器に導く。本装置を用い、マウス繊維芽細胞NIH3T3のレイリー散乱スペクトル・イメージを500-800nmめ波長領域について非染色で測定することに成功している。金ナノ粒子(粒径 ; 100nm)を試料として空間分解能を調べたところ、面方向に300nm、光軸方向に800nmとsubμmの空間分解能を実現している、動的光散乱計測部に関しては、現在顕微鏡および分光CCDカメラとの同期プログラムを作製中であり、間もなくの完成が見込まれる。 作製した上記装置の評価を兼ねて、金ナノ粒子を担持したゼオライト結晶の三次元レイリー散乱分光・イメージングを試みた。ゼオライトの輪郭内に輝点が分散しているのが確認され、散乱スペクトルの計算との比較からそれらがおよそ粒径50nmの単一金ナノ粒子であり、結晶内部に完全に担持されていることが分かった。このように、高空間分解能で広帯域レイリー散乱分光イメージを得ることのできる本装置によって、金とゼオライトのように異種の化学組成の空間分布を分光スペクトルによって切り分けて見ることが可能であり、生細胞のような空間ごとに異なる化学組成を示す分子高次系に有効な計測装置であると考えられる。
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