Muファージの尾部基盤の分子集合・自己組織化による自律的な形態形成の過程を解明するために、基盤を構成するgp41、gp45、gp46の組み換え体蛋白質の精製と解析を行った。それぞれの蛋白質は効率よく大腸菌で発現し、容易に精製することができた。gp46は発現時に沈殿してしまう画分も見られたが、その沈殿を懸濁し500気圧で8時間放置することにより、容易に可溶化できることがわかった。 それぞれの蛋白質のX線結晶解析のための結晶化を試みたが、よい結晶は得られなかった。そこでMuファージgp45とアミノ酸配列で相同性をもち、機能が同じと考えられているP2ファージのgpVについてそのC端ドメインの発現と結晶化を行ったところ、よい回折を示す結晶が得られた。その格子定数はa=71.0Å、b=67.4Å、c=72.1 α=90°Å、β=99.8°、γ=90°であった。回折像はおよそ2.1オングストロームの分解能を示した。現在、同型重原子置換体の作製を行っている。
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