研究課題
開口放出で働く繋留因子であるExocyst複合体は、Sec3、Sec5、Sec6、Sec8、Sec10、Sec15、Exo70、Exo84の8つのサブユニットから構成される分子量約750kDaのタンパク質複合体である。本研究では、繋留の物理的機構およびその制御機構の構造基盤を確立することを目的として、Exocyst複合体の原子モデル構築を行う。そのために、バキュロウイルスの発現系を用いて複合体の再構成を行い、得られた複合体およびサブ複合体の解析を行うことを目指した。本年度は、ショウジョウバエのExocyst複合体サブユニットの発現系を構築し、サブユニット単独での大量発現を行った。ラットのサブユニットと同様に、Sec3、Sec15、Exo70で部分的な可溶化が認められたものの、ほとんどのサブユニットが不溶性のタンパク質として発現していた。ラットの複合体では、Sec6とSec8を共発現することによって可溶化できるが、ショウジョウバエの複合体においても、Sec6とSec8を発現するウイルスを共感染させると可溶性の複合体が得られることを確認した。この結果は、共感染で少なくとも二つのサブユニットを共発現できることを示している。ラットの複合体の場合、Sec6とSec8のみのサブ複合体では巨大な凝集体を形成することがゲル濾過クロマトグラフィーの結果からわかっているので、今後は他のサブユニットとの組み合わせによる複合体の性質の改善、あるいは、Sec6、Sec8のそれぞれを切り詰めた発現系を構築し、安定で構造解析に適するサブ複合体の同定を行い、構造解析に適する試料調製方法を確立する。複合体の再構成を行うと共に、本年度は、出芽酵母のSec3サブユニットのN末ドメインとRholとの複合体の結晶化に成功し、2.6A分解能で構造を決定することに成功しだ。
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Nature 455
ページ: 988-991
ページ: 358-362