研究課題
本研究では、電子顕微鏡を用いた生体高分子の構造解析を目的とした、画像処理システムの開発を目的としたものである。これまで、Eos (Extensible Object-oriented system)という画像処理パッケージを作成してきた。今回は、その画像処理パッケージを拡張することを目的とした。具体的には、単粒子解析法、電子線トモグラフィー法に関する統合ツールを作成し、そのために必要なアルゴリズムの開発を行った。CTF補正の重要性に鑑み、デフォーカス量を決定し、補正ツールを作成した。3次元再構成に関して、重み付け逆投影法と組み合わせて、SIRT法を導入した。GPGPU、CELL等を用いた高速化を試みた。フーリエ変換に関しては、cufftを用いることの高速化を評価し、有効であることがわかった。また、ユーザーへのサポートを行うために、GUIを用いたプログラム開発のためのプラットフォームを作成した。Eosのすべての関数をrubyから呼び出せるように,ライブラリをシェアードライブラリ化すると共に、Swig (ラッパー自動生成プログラム)をEosに導入した。これにより、Ruby/Tk, Tc1/Tkなどのスクリプト言語から読み出すための開発が可能となった。現在、この環境を用いて、各種のツールを自動的にGUI化する環境の作成を続けている。また、単粒子解析、電子線トモグラフィー法共に、makefileを作成して、このmakefileをGUI化するためのツールVisualmakeもver1をreleaseした。これらのツールはすべて、ソースコードレベルで必要な研究者及び企業には提供しており、今年度も新たに1研究グループ、1企業に提供した。
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