研究課題/領域番号 |
20052005
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
奥脇 暢 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50322699)
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研究分担者 |
永田 恭介 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40180492)
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キーワード | クロマチン / ヒストン / シャペロン / ヌクレオソーム / エピジェネティックス / 遺伝子発現 |
研究概要 |
本研究の目的は、クロマチンダイナミクスの基本原理を理解することである。クロマチン構造のダイナミックな制御は遺伝子発現の制御において、非常に重要な役割を担っている。細胞の分化・発生は遺伝情報プログラムの変換によって引き起こされる。遺伝情報を発現するためには、鋳型となるクロマチンのダイナミックな構造変換が必須である。本研究では、上述の目的のもと、新規のクロマチン構造制御因子の同定を行った。その結果、二つのクロマチン構造制御因子を同定した。一方はリンカーヒストンのシャペロンとして機能する因子であり、もう一方は、ヒストンH2A-H2Bのクロマチン上でのダイナミクスを制御する因子であった。いずれの因子もヒストンと直接相互作用し、クロマチン形成を促進する活性を有していた。また、細胞内において新規リンカーヒストンシャペロンをノックダウンすると、リンカーヒストンのダイナミックな交換反応が抑制された。これまでにいくつかのヒストンダイナミクスを制御する因子は同定されているが、高等真核細胞においては、リンカーヒストンを制御する因子は明らかになっていなかった。本研究で同定したシャペロンは、動物細胞でリンカーヒストンを介したクロマチン構造制御、遺伝子発現制御にかかわる初めての因子である。また、これらのヒストンシャペロンと、ATP要求性のクロマチンリモデリング因子との協調的な構造変換機構の解析を進めた。今後は、ヒストン修飾も含めた、クロマチン構造変換機構の解明を目指して研究を進めていく予定である。
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