BTEB2/Kruppel-like factor 5(Klf5)は、胚性幹(ES)細胞などの幹細胞・個体の維持に必要不可欠な役割を果たすことを申請者らが明らかにしてきている。しかしながら、Klf5による幹細胞維持の分子機構は殆ど分かっておらず、以下に述べるサブプロジェクトを遂行することにより、幹細胞維持におけるKlf5の役割を明らかにすることが目的である。1)Klf5遺伝子の標的遺伝子は現在の所殆ど不明であるため、マイクロアレイおよびChip-on-ohip assayにより得られた候補遺伝子群を解析し、siRNAを用いたノックダウン実験やプロモーター解析等により直接の下流遺伝子であるかどうか同定する事を目的とする。H20年度は、マイクロアレイ解析によりKlf5ノックアウトES細胞で減少している転写産物を綱羅的に単離し、Tcll-Aktlシグナルが下流に存在することを見出した。2)Klf5コンディショナルノックアウトマウスを用いて、各種組織幹細胞におけるKlf5の役割を解析する事を目的とする。H20年度は、Klf5コンディショナルノックアウトマウスと各種組織特異的Creマウスと交配し、表現型を観察した。腸管上皮特異的なCre発現マウスである、Villin-Creと交配した結果、多くは胎内で致死となっていることが判明したため、今後は胎児期での表現型観察を行っていくこととする。
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