1. 変異型G9a/GLP発現マウスの樹立 G9aあるいはGLPの活性に必須のアミノ酸を置換するように遺伝子をノックインしたキメラマウスを野生型と交配することで変異型G9a及びGLP発現マウスのへテロ接合型を得ることが出来た。 2. 変異型G9a/GLP酵素複合体発現マウスの表現型解析 変異型G9aのノックインマウスは胎生致死であった。さらに詳細にステージングを行って致死性を解析した結果、G9aのシンプルノックアウトよりは若干生存する期間が長くなるものの(胎生約11日まで生育可能)、胎児の成長遅延などの表現型は維持されていた。さらにこのノックインマウスではヒストンのメチル化の低下、および標的遺伝子の転写抑制が解除される表現型はシンプルノックアウトと同一であった。一方で、変異型GLPのノックインマウスは発生に顕著な影響は観察されず、出生可能であった。さらに雌雄共に妊よう性に問題はなかった。変異型GLPノックインマウスでは、GLPシンプルノックアウトで観察されたような、ヒストンのメチル化の低下、および標的遺伝子の転写抑制が解除される表現型は観察されなかった。以上の結果から以下の結論が導き出された。 a) G9aサブユニットはG9a/GLP複合体における触媒機能に重要な役割を有する。 b) GLPサブユニットの酵素活性は本複合体の触媒機能に不要であった。GLPサブユニットの機能は触媒よりむしろ複合体の形成を調節することにあると考えられた。
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