研究概要 |
1、BETドメインファミリー遺伝子は、アセチル化ヒストンに特異的に結合するプロモドメインを持つ遺伝子群である。アミノ酸一次構造から、主に体細胞で発現するBrd2, Brd3, Brd4と生殖系列特異的に発現するBrdtとに大別されている。マウスの初期旋発生過程において、 Brd2,3,4遺伝子がどのように発現しているかその詳細は示されていない。そこで、これら3種類のBrd遺伝子の発現様式をin situ hybridization法により検討した。結果、 3種類とも胚性6日目から既に発現を開始し、10日目まで、ほぼユビキタスに発現していることが分かった。更に、特異的な抗体を用いた発現から、Brd2タンパク質は分裂中でも核内に局在することが分かった。2、Brd2遺伝子欠失マウスの表現型を解析したところ、ホモ変異胚では、頭部神経管閉鎖不全、顔面頭蓋形成不全、矮小等を示し、胚性12日目までに致死となることが分かった。形態的な解析及び分子マーカーレベルでの発現解析から、前後軸や背腹軸に沿った領域形成は正常に進行するが、細胞が正常に増殖できず、10日目までに細胞死に至っていた。 3、発生過程におけるBrd2遺伝子産物の発現をライブで解析するため、内在性Brd2遺伝子との融合蛍光タンパク質を持つトランスジェニックマウスをBACベクターを用いて樹立した。観察された蛍光タンパク質の発現は、in situ hybridization法によるBrd2遺伝子の発現パターンと良く一致していた。実際、本トラスジーンによって、Brd2欠損マウスの表現型が完全に回復したことから、本融合蛍光タンパク質が、内在性のBrd2遺伝子の発現と機能を再現できていることが示唆された。
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