研究概要 |
マメ科モデル植物のミヤコグサ(Lotus japonicus)の養分吸収変異体を獲得するために、これまでに確立した吸収元素の網羅的解析手法であるイオノーム手法を用いた。変異体のスクリーニング対象としてはEMS(ethylmethane sulfonate)処理を行った種子を自分たちで調整した約200系統およびミヤコグサバイオリソースセンターから提供された約7000糸統を用いた。スクリーニング対象とした元素は必須元素としてはB, Mg, K, Ca, Mn, Fe, Cu, Zn, Mo、非必須元素としてはAI, As, Na, Ni, Sr, Cd, Csであり、非必須元素は野生株の生育に障害が出ない程度のレベルで培養液に添加して栽培を行なった。栽培は一定の環境条件下で同時に200系統を栽培し、全ての個体の地上部を別々に分解をし、対象元素含有率の測定をICP-MSを用いて行った。 200系統全体を母集団として、その平均から3倍以上あるいは半分以下にいずれかの元素含有率が変動した場合に変異を生じている候補として選抜し、地上部を切除した後の根部から植物体を再生することで種子を獲得した。同様の操作を繰り返し4世代目にいたっても元素含有率に変動か生じることを確認した系統を変異系統とした。 2000系統から32の変異系統が獲得された。 得られた変異体の中で一つの元素だけが変動している系統は少なく、その平均は4-5種類の元素が同時に変異していることが示された。また元素の種類によっては変動株が多く得られるものがあり、その逆も認められた。実際に獲得したMoの変異株は体内めMoトランスポーターに変異が生じていることが確認され、本手法の有効性が認められた。また、化学的性質の異なる元素が体内においで一定のバランスを持っで存在するイオンホメオスタシスの現象が認められ、変異によってこのバランスかくずれる可能性が初めて示唆された。
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