研究課題/領域番号 |
20053004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三村 久敏 東京大学, 放射光連携研究機構, 助教 (30463904)
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研究分担者 |
深井 周也 東京大学, 放射光連携研究機構, 准教授 (10361792)
山形 敦史 東京大学, 放射光連携研究機構, 助教 (20463903)
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キーワード | 植物 / 膜蛋白質 / 膜輸送体 / H^+ポンプ / 抗体断片 / 結晶化 / X線結晶解析 |
研究概要 |
一般的に膜蛋白質の結晶化は極あて困難であると言われる。これを容易にする工夫の一つに抗体断片の利用がある。本研究では、膜蛋白質に広く応用可能な抗体断片を用いる結晶化方法として、膜蛋白質のコンフォメーションを特異的に認識する抗体断片を用いた結晶作製方法の確立を目指す。結晶化の対象としては、ピロリン酸を分解し、H^+の能動輸送を行う液胞型H^+-ピロボスファターゼ(V-PPase)を用いる。V-PPaseは分子量約8万のポリペプチドがホモ2量体を形成し、それぞれが16本の膜貫通ヘリックスを含む膜蛋白質である。アミノ酸配列からはV-PPaseとこれまでに立体構造が明らかにされた蛋白質との問に構造の類似性は見いだされない。可溶性無機ピロボスファターゼで保存された基質結合モチーフとの類似性がわずかに見つかるのみである。植物の液胞膜に存在するV-PPaseは、液胞型ATPase(V-ATPase)と共に、液胞膜の二次能動輸送体にH^+駆動力を供給し、液胞を中心とした植物の物質輸送と蓄積を支える重要なH^+ポンプである。現在のところ、ヤエナリ胚軸より調製したV-PPaseにリコンビナント抗体断片のFvを結合させ、さらに脂質を加えることにより、V-PPase-Fv複合体の結晶を得ることに成功している。今後は、現在の結晶化方法をさらに改良・発展させ、X線結晶解析に供することが可能な良質の結晶の作製を目指して研究を進める。
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