1. 窒素条件に応答したヒメツリガネゴケNRT2分子種の発現制御機構の解析 ヒメツリガネゴケの4つの主要NRT2遺伝子のうち、NRT2 ; 3のmRNAのみが示す硝酸イオン依存的な蓄積機構を解析し、mRNAの蓄積量の増減が、プロモーター活性の制御にではなく、硝酸イオンによるmRNAの安定化に起因することを明らかにした。 2. ヒメツリガネゴケのNAR2分子種の機能解析 ヒメツリガネゴケの3つのNAR2遺伝子のうち、NAR2 ; 1とNAR2 ; 2についてはノックアウト株、NAR2 ; 3についてはノックダウン株を作製して解析を行い、NAR2 ; 2とNAR2 ; 3が高親和性の硝酸イオン輸送に関与し、NAR2 ; 1が低親和性の硝酸イオン輸送に関与することを示した。 3. ヒメツリガネゴケの主要NRT2分子種NRT2 ; 3の構造と機能の解析 アンモニア添加時に見られる硝酸イオン輸送の可逆的阻害が、輸送体の分解・再生産をともなう制御ではなく、輸送活性の翻訳後制御によるものであることを、NRT2 ; 3に対する抗体を用いて示した。 4. 亜硝酸イオン/シアン酸イオン(NCO)輸送体の同定 ラン藻Synechococcus elongatus PCC7942のABC型硝酸イオン/亜硝酸イオン輸送体欠損株に残存している亜硝酸イオン能動輸送活性の解析から、cynABDオペロンにコードされているABC型シアン酸イオン輸送体が亜硝酸イオン輸送活性を併せもつことを明らかにした。 5. ラン藻のfocA様遺伝子がコードする輸送体の機能解明 海産性ラン藻Synechococcus sp.PCC7002のfocA類似遺伝子を、上記4.で作製したSynechococcus elongatus PCC 7942の亜硝酸イオン輸送完全欠失株に導入して機能解析を行うことにより、この遺伝子が亜硝酸イオン特異的能動輸送体をコードしていることを証明した。
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