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2009 年度 実績報告書

植物の低リン耐性に関わる排出型トランスポーターの単離

研究課題

研究課題/領域番号 20053015
研究機関広島大学

研究代表者

和崎 淳  広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (00374728)

キーワードリン / 分泌 / トランスポーター / 有機酸 / 酸性ホスファターゼ / ストリゴラクトン / フラボノイド / リン鉱石資源
研究概要

低リン条件下では、有機酸、酸性ホスファターゼの分泌による難利用性リンの可給化や、二次代謝産物の分泌による菌根菌や根圏細菌などリン吸収と深い関係のある微生物との相互作用に影響している。本研究は、これらの低リン条件下で根から分泌される物質の輸送を担うトランスポーターを単離することを目標として実施した。昨年度、排出型トランスポーターの候補として選抜した遺伝子についての機能解析を進めた結果、以下のような結果を得た。At1g73220,At3g47420の発現は極めてリン欠乏根に特異的で、変異株の生育は-P区で顕著に抑制された。これらのトランスポーターは排出型ではなく、リン欠乏条件下で認められる脂質の再編に関与する可能性が考えられた。At4g21680もリン欠乏根で特異的に発現し、変異株の生育が-P区で顕著に抑制された。ペプチド輸送を担うことが予想され、未知のリン欠乏応答に関与する可能性が考えられた。
Al活性化型リンゴ酸トランスポーターALMT1のシロイヌナズナホモログの一つである、AtALMT-PI1とリン欠乏条件下でのリンゴ酸分泌の関係について解析を実施した。シロイヌナズナは低リン条件下でリンゴ酸を多く分泌し、クエン酸の分泌量は多くなかった。AtALMT-PI1のmRNAはリン欠乏条件の根において標準リン条件と比較して約4倍に発現量が増加した。AtALMT-PI1のpromoter解析を行った結果、特に根伸長域において強く発現している一方で、根端付近や成熟した根ではあまり発現しないことが示された。また、発現は主根および側根の表皮細胞と根毛に多く見受けられた。変異株でリンゴ酸の分泌量の低下が認められたものの、電気生理試験ではリンゴ酸の輸送活性がこれまでに検出されていないことから、AtALMT-PI1はリンゴ酸分泌に関わるものの、輸送を活性化する他の因子が存在することが考えられる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 低リン適応とリン吸収の分子メカニズム.

    • 著者名/発表者名
      和崎淳
    • 雑誌名

      日本土壌肥料学雑誌 ((in press))

    • 査読あり
  • [学会発表] Plant strategies for P uptake from low fertility soils.2010

    • 著者名/発表者名
      Wasaki, J.
    • 学会等名
      日本農芸化学会
    • 発表場所
      東京都目黒区(東京大学)
    • 年月日
      2010-03-30
  • [学会発表] シロイヌナズナ根におけるリン欠乏誘導型有機酸トランスポーター候補遺伝子の解析.2010

    • 著者名/発表者名
      丸山隼人
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 発表場所
      熊本県熊本市(熊本大学)
    • 年月日
      2010-03-21
  • [学会発表] クラスター根を形成する植物のリン吸収機構.2010

    • 著者名/発表者名
      和崎淳
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 発表場所
      熊本県熊本市(熊本大学)
    • 年月日
      2010-03-20
  • [学会発表] イネからの根分泌タンパク質のプロテオーム解析2010

    • 著者名/発表者名
      信濃卓郎
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 発表場所
      熊本県熊本市(熊本大学)
    • 年月日
      2010-03-19
  • [学会発表] An AtALMT homolog of Arabidopsis thaliana was induced by Pstarvation.2009

    • 著者名/発表者名
      丸山隼人
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      神奈川県横浜市(パシフィコ横浜)
    • 年月日
      2009-12-12
  • [学会発表] Transcriptomic analysis of metabolic alteration by phosphorus deficiency in soybean roots.2009

    • 著者名/発表者名
      和崎淳
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      神奈川県横浜市(パシフィコ横浜)
    • 年月日
      2009-12-09
  • [学会発表] 窒素、リン酸、カリウム、イオウ欠乏ミヤコグサにおける遺伝子発現変動の網羅的解析.2009

    • 著者名/発表者名
      和崎淳
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
    • 発表場所
      京都府京都市(京都大学)
    • 年月日
      2009-09-15
  • [学会発表] シロバナルーピン由来酸性ホスファターゼ及びフィターゼ過剰発現タバコにおける土壌中有機態リンの利用.2009

    • 著者名/発表者名
      丸山隼人
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
    • 発表場所
      京都府京都市(京都大学)
    • 年月日
      2009-09-15
  • [備考]

    • URL

      http://home.hiroshima-u.ac.jp/rhizo/Top_Page.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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