膜輸送タンパク質は、膜貫通領域が疎水性に富むアミノ酸残基で構成されているという性質を有するため、水溶性のタンパク質と異なり、機能を保持した形での組み換えタンパク質調製が著しく困難である。本課題では、従来の組み換えタンパク質調製法の欠点を補う新規技術として我々が開発したコムギ無細胞翻訳系を利用する試験管内での膜輸送タンパク質の可溶化合成系を、様々な植物膜輸送タンパク質の機能構造解析に応用することを目的として研究を進めている。今年度は、まず無細胞翻訳系でアミノ末端を均一化する新たな技術の構築を進め、学会報告とともに論文発表を行った。7回膜貫通領域を有するモデル膜タンパク質バクテリオロドプシンのプロテオミセル合成の技術開発に成功した。さらに、膜輸送タンパク質のリン酸化などに関与するミリストイル化タンパク質の機能解析システム確立も完了した。これらの研究成果は、和文総説および学会において報告し、原著論文として投稿中である。
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