研究概要 |
交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を遂行し、下記の成果を得た。 Gtγ-C71stopノックインマウスの視細胞の解析 : 網膜光受容細胞のG蛋白質トランスデューシンの脂質修飾の役割を調べるため、イソプレニル化Cys残基を欠失したトランスデューシンγサブユニット(非修飾型Gtγ)を発現する組換えマウス(C71stopマウス)を用いて, 以下の解析を行った。1) C71stopマウス網膜より桿体外節画分を調製してGTPγS結合活性を調べたところ、光依存的なGtの活性化レベルが野生型に比べて約1/10に低下していることがわかった。またGt各サブユニットの細胞内局在を免疫組織化学的に精査したところ、βγサブユニットの局在に異常が観察された。これらの結果よりGtγの脂質修飾は、Gtの正常な細胞内局在、ならびに桿体における光シグナル増幅に重要な役割を果すと考えられた。2) C71stopマウス網膜の視細胞(桿体)が示す光応答特性を、吸引電極法を用いて単一細胞レベルで解析した。その結果、C71stop桿体視細胞の光感度は野生型に比べて約1/100に低下していることが明らかになった。この大きな感度の低下はGtタンパク質量の低下のみでは説明できず、C71tstop桿体が暗時においても明順応に近い状態にあることが示唆された。 概日光受容蛋白質メラノプシンの解析 : メラノプシンの一次構造は軟体・節足動物のロドプシンと相同性が高く、G蛋白質と共役するメタ中間体が安定で可逆的な光反応(双安定性)を示すと推定されている。これを検証するための準備として本年度は, メラノプシンに1D4タグを導入し、1D4抗体を用いた組換えメラノプシンのアフィニティー精製を試みた。その結果、青色感受性の色素を含む粗精製標品を得ることができた。
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