研究概要 |
私は、移動神経細胞の過程で、Rho類似G蛋白質の一つであるRac1が重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。そして、その下流でいかなるシグナル伝達機構が関与しているのかを探索し、一つのエフェクターとしてPak1が(1)移動神経細胞に細胞極性を与えること、(2)移動神経細胞が皮質板のもっとも上部で移動を停止させること、に関与していることを明らかにした(Cerebral Cortex, 2009)。また、転写因子Ptf1aによって、神経細胞の移動様式が大きく変換されることをこれまでに示してきたが、私はcDNAマイクロアレイの解析から、ptf1aの下流で誘導される様々な遺伝子群を同定した。それらの中には、G蛋白質関連の分子が多く含まれている。特に、Cdc42と細胞の移動方向の決定との関わりあいについても、今後子宮内エレクトロポレーション法などを通して解明して行く。また、Ptf1aおよびMath1が、聴覚の重要な中枢である、蝸牛神経核の発生に重要な役割を果たしている事を明らかにした(Development, in press)。
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