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2009 年度 実績報告書

真核生物における経時老化を制御するクロマチン動態

研究課題

研究課題/領域番号 20055012
研究機関筑波大学

研究代表者

増本 博司  筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教 (80423151)

キーワード染色体構造 / ヒストン修飾 / ヒストン修飾酵素 / DNA損傷修復 / 細胞老化 / クロマチン構造 / 機能性小分子 / 早老症
研究概要

「研究目的」出芽酵母ヒストンH3の56番目のリジン(H3 K56)はヒストンデアセチラーゼHst3,Hst4によって脱アセチル化される。Hst3,Hst4は細胞老化の制御を行なうSir2ファミリーの一つであるが、このSir2以外のヒストンデアセチラーゼも細胞老化に関与しているかどうかはよくわかっていない。本研究ではHst3, Hst4がヒストンH3 K56のアセチル化を介してSir2同様に細胞老化制御に関与しているかどうか研究を行なった。
「研究成果」hst3 hst4二重欠損株では染色体中にH3-K56のアセチル化が高度に残存し、sir2欠損株同様に細胞の分裂回数が極端に減少する。hst3 hst4二重欠損株は細胞分裂の度にloss of heterozosity(LOH)を高頻度で起こす。野性株で見られるLOHでは染色体腕が欠損しても染色体の再生がみられるのに対して、hst3 hst4二重欠損株でのLOH内でも染色体腕が再生せず欠損したままになる頻度が高かった。さらにはhst3 hst4二重欠損株はヒトの早老症であるウェルナー症候群WRN遺伝子の出芽酵母ホモログであるsgs1訂欠損とは合成致死になった。
「研究の意義および重要性」今回の研究から染色体クロマチン中の一種類のヒストンのアセチル化の制御異常によって細胞の寿命を短縮してしまう効果があることを明らかにした。hst3 hst4二重欠損株ではゲノムの不安定化、特に染色体腕の欠損が高頻度で起こることによって、細胞増殖に必須な遺伝子を消失することが細胞の短命の原因ではないかと考えられる。さらにhst3 hst4 sgs1三重遺伝子欠損株が致死性を示すことは、DNAの二重鎖切断あるいは複製フォークの進行阻害によって生じるDNA障害の際に使われるDNAの相同組換え修復機構が過剰なヒストンH3-K56のアセチル化によって阻害されることを示している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [学会発表] The formation of newly assembled nucleosome during the chromosome DNA replication in budding yeast2010

    • 著者名/発表者名
      増本博司
    • 学会等名
      International Conference on Radiation and Cancer Biology at Nagasaki 2010
    • 発表場所
      長崎大学医学部良順会館(長崎県長崎市坂本1-12-4)
    • 年月日
      2010-02-17
  • [学会発表] Hst3 and Hst4 deacetylate histone H3 on lysine 56(H3-K56)to prevent genomic instability in replicative ageing2009

    • 著者名/発表者名
      八戸真弓、増本博司、花岡文雄
    • 学会等名
      第32回 日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)
    • 年月日
      2009-12-12
  • [学会発表] ヒストンデアセチラーゼHst3, Hst4による分裂老化制御機構2009

    • 著者名/発表者名
      増本博司
    • 学会等名
      第42回 酵母遺伝学フォーラム
    • 発表場所
      ノバホール(茨城県つくば市吾妻1-10-1)
    • 年月日
      2009-07-28
  • [学会発表] ニコチンアミド(ビタミンB3)と細胞の寿命との関係2009

    • 著者名/発表者名
      増本博司
    • 学会等名
      日本動物細胞工学会つくば大会
    • 発表場所
      つくば国際会議場(茨城県つくば市竹園2-20-3)
    • 年月日
      2009-07-24
  • [備考]

    • URL

      http://dpas.agbi.tsukuba.ac.jp/~h3k56/index.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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