(1) α-リポ酸による腸管の解毒排出トランスポーター活性の制御 α-リポ酸が腸管上皮モデルLS180細胞においてMRP2及びBCRPのmRNA発現量を増加させたことから、その時間依存性及び濃度依存性などを検討し、MRP2及びBCRPの発現上昇を確認した。またWestern blot法により両者のタンパク質レベルでの発現増加を明らかにした。さらにMRP2に関しては、α-リポ酸によって転写活性が上昇すること、Calceinのような薬剤の排出活性が上昇することを明らかにすることが出来た。siRNAを用いた実験により、MRP2の発現制御には転写因子Nrfが関わっていることも示された。また、細胞内でのα-リポ酸の代謝物であるジヒドロα-リポ酸にも同様の活性があることが示された。 (2) α-リポ酸の腸管上皮細胞層透過に関与するトランスポーターの同定と特性解析 α-リポ酸の腸管上皮透過にはプロトン依存性のトランスポーターが関与しており、これは中鎖脂肪酸輸送にも関わると考えられることから、本トランスポーター(TrX)の単離・同定を試みているが、未だ成果は得られていない。 (3) TrXの活性を調節する食品因子の解析 腸管上皮Caco-2細胞へのオクタン酸取り込みを指標に、オクタン酸の輸送活性に影響する栄養素・食品成分の探索を行ったところ、クロロゲン酸(CLA)がTrX活性を有意に上昇させることが見出された。CLAはエネルギー依存的なオクタン酸の取り込みのみを促進した。CLAの作用機構について検討を進めている。 (4) 腸管のアミノ酸トランスポーターの制御機構の解析 タンパク質合成阻害剤が腸管の中性・塩基性アミノ酸トランスポーターの発現を亢進することを見出した。
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