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平成20年度は、NOシグナル依存的なCa放出への骨格筋型Ca放出チャネルの関与を明らかにするため、以下のような実験を行った。
1. 出生直後のマウス小脳スライス標本におけるNO依存的Ca放出測定系の確立
骨格筋型Caチャネル欠損マウスは出生致死である。したがって、この遺伝子改変動物を用いてNO依存的なCa放出を測定するためには、出生直後の動物個体より急性スライス標本を作成し、Caイメージングを行う系を確立する必要がある。このため、先ず野生型マウスを用いてこの系の確立を試みた。脳組織の摘出法、およびイメージングのためのCa蛍光指示薬の導入法の改良により、出生直後のマウス由来の小脳急性スライス標本において、プルキンエ細胞よりNO供与体の投与による細胞内Ca濃度の上昇を検出することに成功した。また、このCa上昇は細胞外からのCa流入には依存せず、その一方で、薬理学的処理による細胞内ストアの枯渇により消失したことから、細胞内ストアからのCa放出によるものであることが示された。
2. 骨格筋型Ca放出チャネル欠損マウスにおけるNOシグナル依存的Ca2+放出の解析
引き続き、1) で確立した手法を用いて、骨格筋型Ca放出チャネル欠損マウスにおけるNOシグナル依存的Ca放出の解析を試みた。この遺伝子改変動物由来の小脳急性スライス標本においては、NO供与体投与によるプルキンエ細胞内Ca上昇は見られなかった。一方、グルタミン酸シグナル依存的なCa放出は正常であったことから、細胞内Caストアには異常がないと考えられる。したがって、骨格筋型Ca放出チャネルがNOシグナル依存的なCa放出において必要不可欠であることが示された。
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