研究課題
膵導管細胞は全身の上皮膜の中で唯一150mMという非常に高い濃度(血漿中の濃度の約5-6倍)の重炭酸イオン(HCO_3^-)を分泌することができるが、膵導管細胞の管腔膜におけるHCO_3^-分泌機構の詳細は明らかではなかった。これまでの我々自身の研究成果により、Cystic Fibrosis Transmembrane conductance Regulator(CFTR)クロライドチャネル自身がHCO_3^-チャネルとして働いている可能性と、CFTRと同じく導管細胞の管腔膜に発現するSLC26陰イオン交換輸送体の機能がCFTRクロライドチャネルにより活性化を受けてHCO_3^-分泌を担う2つのメカニズムが提唱されている。さらにCFTRとSLC26陰イオン輸送体はそれぞれの細胞内ドメインである、Regulatory domain(R)とSulfate transporter Antisigma factor antagonist domain(STAS)を介して膜輸送複合体を形成していることを明らかにした。本研究では、CFTRとSLC26輸送体複合体と分子複合体を形成する分子を同定し、HCO_3^-分泌における役割を解明することを目的とした。SLC26輸送体の細胞内ドメインSTASにGlutathione S Transferase(GST)タグを付加し融合蛋白を作成後、ベイトとした。ヒトの膵導管細胞癌の培養細胞株であるCAPAN-1の細胞溶解液を材料にGST融合STASドメインを用いてpull down法で新規蛋白の同定を試みたところ、様々なGTPase activating protein(GAP)及びguanine nucleotide exchange factor(GEF)活性部位を持つ蛋白が同定された。現在、これらの新規蛋白とCFTR-SLC26複合体との分子複合体形成について検討中である。
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