これまでの組織・細胞レベルの研究から、細胞膜直下のセプチン系がスカフォールドないし拡散障壁として、膜輸送複合体の組織化・局在・安定化などに寄与することが示唆された。この仮説は、逆遺伝学的手法によって作製したSept4欠損マウスにおいてDATを核とするドパミン再取り込みに必須な膜輸送複合体が欠乏するというデータからも支持された。しかし、その表現型が比較的マイルドであるため、セプチン系で最も重要なサブユニットであるSept7をドパミンニューロンのみでコンディショナルに欠失するマウスの作製を開始した。次年度に生まれる予定のマウスがドパミン輸送体複合体の欠乏によってパーキンソン症候群に類した病態を呈すれば、セプチン・スカフォールドに依存するトランスポートソーム研究のためのよいモデルとなり、膜輸送複合体研究の医学的な意義もさらに高まることも期待できる。
|