研究概要 |
K_<ATP>チャネルはRap1の活性化因子であるEpac2および開口放出関連分子Rim2とチャネル機能複合体を構成する。すでに申請者らはEpac2欠損マウスを作製した際に、副腎に発現するEpac2よりわずかに小さな新たな副腎特異的イソフォームを同定した。このmRNA(Epac2Bと命名)は既知のEpac2(再度Epac2Aと命名)のアミノ末端のcAMP結合ドメインAを欠く構造を有していた。興味深いことに、Epac2Bが細胞質に均一に存在するのに対し、Epac2Aは細胞膜直下に存在した。Epac2AはRim2とともにK_<ATP>チャネル機能複合体を構成ずることからEpac2Aは細胞膜に存在する必要があると考え、本年度はEpac2AとEpac2Bの分子機能、細胞内局在、Rap1活性化能を比較した。細胞内の局在を規定するEpac2A内のドメインを同定するために、(Epac2Bでは欠損している)Epac2AのcAMP結合ドメインAのみをGFPタンパクと連結し細胞内局在を検討したところ、GFPの蛍光発光はEpac2A全長と同様に細胞膜直下で検出された。このことからEpac2AはEpac2Aのアミノ末端のcAMP結合ドメインAの働きを介して細胞膜上でK_<ATP>チャネルやRim2と結合することが明らかになった。さらにcAMP結合ドメインAのみのを膵β細胞株に発現させたところ、cAMP依存性にホルモン分泌を引き起こすことが明らかになった。すでにEpac2AはCa^<2+>の細胞内プールであるリアノジン受容体の活性制御に関与しているとの報告があることから、Epac2Aは膵β細胞でcAMPにより活性化し同リアノジン受容体を介した、細胞内プールからのCa^<2+>動員を引き起こし、インスリン分泌を増加させることが考えられた(Niimura, et al, J Cell Physiol, 2009)。
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