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2009 年度 実績報告書

機能の異なるふたつのニッチ

研究課題

研究課題/領域番号 20057004
研究機関東京大学

研究代表者

依馬 秀夫  東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (50344445)

キーワード造血幹細胞 / ニッチ / 細胞周期 / 休眠状態 / 骨髄 / 脾臓
研究概要

造血幹細胞は通常細胞周期のG_0期にあり休眠状態にあるが、周期的に細胞周期にはいり、自己複製するか分化するか等の運命の選択を行う。これまで造血幹細胞制御におけるニッチの機能について明確に示した研究はなかった。ニッチは複数の細胞や細胞外マトリックス等によって構成される。そのため発生工学的手法によってニッチ自体を欠損させてニッチ機能を解析することが困難であることが大きな原因のひとつである。そこで本研究では、「成体マウスの造血幹細胞には少なくともふたつの機能の異なるニッチが存在し、それぞれのニッチによって造血幹細胞の運命と挙動が支配されている」ことを想定し、ニッチ機能を明確にすることを目的とした。造血幹細胞は成体マウスでは骨髄と脾臓の両方に存在する。そこでそれぞれの造血幹細胞の能力をクローナルなレベルで比較した。その結果、両者の造血系再構築能と自己複製能には差がないことが明らかとなった。また、パラビオーシスモデルの実験から脾臓中の造血幹細胞は末梢血中の造血幹細胞と異なることが明らかとなった。BrdUを用いた細胞周期の解析を行ったところ、脾臓の造血幹細胞は骨髄の造血幹細胞と比較して約2倍の頻度で細胞周期に入ることが明らかとなった。次に、骨髄の造血幹細胞と脾臓の造血幹細胞の移植後のホーミングを比較した。その結果、骨髄造血幹細胞は骨髄と脾臓にホーミングするのに対して、脾臓造血幹細胞は骨髄にのみホーミングすることが判明した。本研究より造血幹細胞制御におけるニッチ機能として(1)G_0期の長さの制御(2)ホーミング先の選択があることが示された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Stepwise development of hematopoietic stem cells from embryonic stem cells2009

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto, K., et al.
    • 雑誌名

      PLoS One 4

      ページ: e4820(1-10)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The actin polymerization regulator WAVE2 is required for early bone marrow repopulation by hematopoietic stem cells2009

    • 著者名/発表者名
      Ogaeri, T., et al.
    • 雑誌名

      Stem Cells 27

      ページ: 1120-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] TGF-beta as a candidate bone marrow niche signal to induce hematopoietic stem cell hibernation2009

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki, S., et al.
    • 雑誌名

      Blood 113

      ページ: 1250-6

    • 査読あり
  • [学会発表] DNAメチル化と造血発生2010

    • 著者名/発表者名
      依馬秀夫
    • 学会等名
      第9回日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      2010-03-19
  • [図書] Principles of Hematopoietic Stem Cell Biology in in Hematopoietic Stem Cell Biology2010

    • 著者名/発表者名
      Ema, H., et al.
    • 総ページ数
      36-251
    • 出版者
      Springer
  • [備考]

    • URL

      http://stemcell-u-tokyo.org/sc-se/

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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