研究課題
研究代表者は平成20年度において当初の研究計画(1)核内受容体機能を制御する細胞外シグナルと制御分子の解明、(II)成熟破骨細胞分化シグナルRANKによるエピジェネティクスの分子機構の解析)として、以下の実験結果を得た。(1)に関しては、葉系幹細胞において、骨芽細胞誘導因子BMP2が抑制型ヒストン修飾(ピストンH3リジン9番目、27番目のメチル化)を誘導する事を見出した。更に脂肪細胞分化誘導因子PPARγ活性化剤(Tro)を投与した所、BMP2と同時投与では脂肪細胞と骨芽細胞分化が促進される結果になったが、BMP2処理1日後にTroを添加しても脂肪細胞分化は促進しなかった。この現象は脂肪細胞と骨芽細胞の分化の過程において細胞外分化シグナルがエピジェネティック変動を介し制御する事を世界に先駆けて見出した。(II)に関しては破骨細胞の大量培養系を確立し、細胞質タンパク質、核タンパク質を用いてエストロゲン受容体α(ERα)相互作用因子の精製を行った。質量分析計を用いて既知クロマチンリモデリング因子、転写共役因子、熱ショック蛋白の同定に成功した。更に、破骨細胞分化過程で誘導される因子(EAF1,2)の同定に成功した。EAF1,2いずれも破骨細胞前駆細胞であるRAW264細胞にてERαの転写活性化機能を促進した。これら因子の強発現は破骨細胞分化マーカー遺伝子(カテプシンK,TRAP)の発現を促進するため、新規破骨細胞分化制御因子である事を見出した。更にERαのリガンド(エストロゲン、ラロキシフェン)添加を行い破骨細胞分化における機能を検討した所、リガンド依存的な破骨細胞分化抑制が、EAF1のRNAiによって更に増強される結果になった。以上の結果から多核化した破骨細胞において新たな転写共役因子の同定と機能を見出す事に成功した。
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