研究課題
本年度の研究では精巣の精子形成の元になる幹細胞(精子幹細胞)のホーミング機構に関与する分子として初めてβ1-インテグリンを同定した。これまで生殖細胞はアデノウイルスに感染しないとされてきたが、研究代表者らは2007年に試験管内でアデノウイルスにより遺伝子を発現させることに成功した。本年度の研究ではConditional Knockoutマウスの精子幹細胞へCre recombinaseをアデノウイルスにより導入し、遺伝子欠損した精子幹細胞を精巣内移植によりアッセイを行った。その結果β1-インテグリンが欠損すると著しく移植によるコロニー形成が阻害されることが分かった。一方、Drosophilaにおいて生殖幹細胞のニッシェとの関わりに重要であることが示されているE-cadherin遺伝子については、遺伝子欠損により有意な結果が認められなかった。β1-インテグリン欠損細胞は試験管内で細胞外基質ラミニンへの接着が著しく低下し、移植直後は通常と特に変化ないが、一週間程度経過すると基底膜部から乖離することから、基底膜への繋留が損なわれるため、コロニー形成が阻害されていると考えられる。また、研究代表者らはアデノウイルスをマウス精細管内に直接注入すると精巣の支持細胞であるセルトリ細胞に高率に遺伝子か弐導入されることを2002年に報告したいる。本年度の研究ではこの実験系を用いて精子幹細胞ニッシェ構成側の細胞であるセルトリ細胞の遺伝子操作により、セルトリ細胞側に発現するβ1-インテグリンも精子幹細胞のホーミングに関与していることが明らかとなった。これらの成果はCell Stem Cell誌に論文発表を行った。
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