研究課題
コンデンシンは、分裂期(M期)染色体凝縮と構造維持に中心的な役割を持つタンパク質複合体である。真核生物ではコンデンシンIとIIの二つのアイソフォームが存在し協調的に染色体構築に機能している。コンデンシンの活性や局在は、可逆的なリン酸化により厳密に制御されている。しかし、コンデンシンをリン酸化ずるキナーゼに関しては解析が進んでいるのに対し、ホスファターゼについてはあまり多くは知られていない。そこで申請者らはホスファターゼの役割を解析するために、ツメガエル卵抽出液を用いた染色体再構築系に、M期の主要なホスファターゼであるPP1, PP2Aの阻害剤であるオカダ酸を添加した。オカダ酸の添加により、コンデンシンIIが染色体から脱落し、染色体の構造に異常が生じた。さらに詳細な解析から、PP2AがコンデンシンIIの染色体局在に必要であることがわかった。興味深いことに、このPP2Aを介したコンデンシンIIの染色体局在には、PP2Aのホスファターゼ活性は必要なく、コンデンシンIIを染色体に運び綜合させるリクルーターとして機能することが明らかになった。さらに、PP2AがリクルーターとしてコンデンシンII以外のタンパク質の染色体結合に関与するかを調べるために、オカダ酸添加・非添加で染色体画分のタンパク質を比較し、変化のあったタンパク質の同定、解析を行った。その結果、いくつかの候補タンパク質を同定した。以上の結果から、PP2AがコンデンシンIIを含むいくつかの染色体タンパク質のリクルーターとして機能し、染色体構造を制御することが示された。
すべて 2009 2008 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)
Nature Cell Biol 11
ページ: 312-319
Cell 133
ページ: 627-629
Biochem Biophys Res Commun 370
ページ: 145-148