本研究は研究代表者らがこれまでに同定したPlk1基質分子群の機能解析を通し、分裂装置の形成、動態制御機構を分子レベルで解明することを目的としており、主に以下の3つのテーマを行うことを計画した。本年度はそれぞれのテーマについて以下のような結果を得た。 1) KizおよびKiz結合分子の解析を通した紡錘体極としての中心体制御機構の解明 Kiz結合分子として見出したCep72が、Kizに加えCG-NAPやγ-チューブリン環複合体の中心体局在にも寄与していること、更にCG-NAPの欠損はγ-チューブリン環複合体の中心体局在量には影響を与えないが、中心体の微小管重合中心としての活性に必須であることを見出した。これらの結果を論文にまとめ報告した。 2) Kif18Aによる紡錘体微小管長制御機構の解明 Kif18Aの微小管プラス端への集積には、C端のtail領域が重要な役割を果たしていることを示した。またin vitroでPlk1にリン酸化される残基のリン酸化特異的抗体を作成し、実際にその残基が分裂期特異的にリン酸化されることを示した。 3) 他のPlk1基質群の紡錘体形成、制御への関与の検討と解析 昨年度までに見出したM期進行に異常の見られる因子のうちひとつ(仮にPSX15と命名)について更に解析を進め、PSX15発現抑制を行うと、多くの染色体は中期板へ整列するものの、一部の染色体が極近辺に取り残され、分裂後期への進行が阻害されることを見出した。
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