研究概要 |
細胞周期によりそのリン酸化が制御されることが知られるビメンチンのセリン55, 71, 72, 82のリン酸化を認識する抗体を用いて, オープンサンドイッチ(OS)法によるリン酸化検出を試みた。この際,抗原によるパニングとV_H/V_L相互作用評価の両方が可能な新規開発したFab断片提示法(Dong et.al., 2008)を用いた。具体的にはV H/V LcDNAを特異的なプライマーを用いてPCR増幅し, これらをFabとして発現されるようファージミドベクターpDong1に組み込んだ。これを大腸菌TG1に形質転換, ヘルパーファージKM13を用いてFab提示ファージを調製し抗原結合能の高いクローンを選抜した。その後得られた陽性ファージのファージミドから制限酵素処理でCH1ドメインを除き, 上記と同様にV Hのみを提示するファージとL鎖を分泌生産した。培養上清を, V L断片に結合するプロテインLプレートあるいはL鎖のN末端に結合したFlag-tagあるいはCH1に対する抗体を固定化したプレートに添加しHRP-抗M13抗体で検出することでOSファージELISAを実施した。 この結果, PS71を認識するTM71についてV H/V L相互作用の抗原濃度依存性が顕著に観測された。そこでそのV H/V L相互作用の抗原依存性をさらに強めるためH39に変異を導入し, V H/V L濃度が高い条件でもより高い応答性を示す変異体を得ることに成功した。現在これらのクローンにっき大腸菌を用いたV H, V L, L鎖の可溶性蛋白質調製とAF488等による蛍光ラベル, および無細胞翻訳系を用いたN末端蛍光ラベル蛋白質の調製を行い, これらを用いた蛍光エネルギー移動FRETの抗原濃度依存性, および細胞への導入条件に関して詳細な検討を行っている。
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