研究課題
私たちが、yeast two hybridスクリーニングによって、ポリグルタミン病原因タンパク質に結合する新規分子として発見したPQBP1 (Waragai et al., Hum Mol genet 1999)は、その後の海外の精神遅滞コンソーシャム研究により、小児精神遅滞ならびに小頭症の原因遺伝子であることが明らかになった。これまでに報告された遺伝子変異においては、フレームシフトによって機能を持たないPQBP1タンパクが産生されるか、もしくはnon-sense RNA decayによってタンパク質量自体が減少すると考えられている。したがってPQBP1の機能低下が精神遅滞と小頭症の原因と推定できる。一方、私たちを含む3つのグループがPQBP1とスプライシング因子U5-15kDの結合を報告している。本研究において、私たちはPQBP1遺伝子異常によって起きる小頭症とスプライシング異常の関連を解析した。さらにconditional KOマウスを作製して、その表現型を解析した。その結果、PQBP1の発現抑制は、神経幹細胞において細胞周期制御タンパク質のスプライシング制御に関わっていること、PQBP1の機能低下は、スプライシングタンパクの減少を介して細胞数の減少を招くことが明らかになった。本研究の成果は、PQBP1病における病態メカニズムを明らかにするのみでなく、新たな小頭症発症メカニズム(脳サイズコントロールメカニズム)を示した点で重要である。
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