細胞質分裂を調節する低分子量GTPaseとそのエフェクターに関して次のことを明らかにした。 1. ドミナントネガティブ変異体やsiRNA、ノックアウト細胞を用いた実験により、次の(A)と(B)を明らかにした。 (A)RabllとARF6の共通のエフェクターであるRab11-FIP3とRab11-FIP4のリサイクリングエンドソームやミッドボディーへの局在は、いずれもRab11によって決定されることを示した。 (B)ARF6はミッドボディーに局在して、細胞質分裂の調節に関与すること。 2. GFPタグまたはmCherryタグを施したタンパク質を安定に発現するHeLa細胞株を樹立し、タイムラプス解析により次の(C)〜(E)を明らかにした。 (C)RabllとRabll-FIP3/Rabll-FIP4は、細胞分裂の間期にはリサイクリングエンドソームに局在するが、細胞分裂の前期から後期にかけては紡錘体極の中心体近傍に存在するが、終期になると中央部紡錘体の付け根部分にも存在するようになり、細胞質分裂時には中央部紡錘体の中心部分(ミッドボディー)に局在するようになること。 (D)ARF6のエフェクターであるMKLPIは分裂前までは核に存在するが、細胞質分裂時にはミッドボディーに局在するようになり、分裂が終わると2つの娘細胞のどちらかに保持されたままになること。 (E)ARF6は、細胞質分裂開始時に収縮環に現れ、GTPとの結合に依存してミッドボディーに局在するようになること。
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