細胞質分裂の際にミッドボディーやミッドボディー周辺に集積する低分子量GTPaseのARF6とRabll、およびそれらのエフェクターであるArfophlin/FIPとMKLP1に関して、GFPやmCherryのような蛍光タンパク質との融合タンパク質を細胞内で発現させて、タイムラプス顕微鏡法によって細胞内局在の経時変化を観察することに成功した。その結果、RabllとArfophilin/FIPは、分裂しつつある細胞の紡錘体極中心体付近からミッドボディー近傍へとリサイクリングエンドソームを運搬してくるのに対して、ARF6とMKLP1は細胞質分裂の後期にミッドボディーに局在し、おそらくはArfbphlin/FIPからリサイクリングエンドソームを受け取ることによって、1個の細胞が二つの娘細胞へと切断される過程を調節することを明らかにした。 また、ドミナントネガティブ変異体を細胞に導入する実験や、RNA干渉法を用いたノックダウン実験によって、RabllがArfophlin/FIPの分裂間期でのリサイクリングエンドソームへの局在を決定するだけでなく、細胞質分裂の際におけるArfophlin/FIPのミッドボディーへの輸送にも関与することを示した。同様の実験によって、MKLP1がARF6のミッドンボディーへの局在を決定することを明らかにした。 さらには、共同研究によって、ARF6とMKLP1の複合体に関しては、X線結晶構造の解明に成功した。今後は、これらの構造データに基づいてさまざまな変異体タンパク質を作製し、構造と機能の相関に関する研究を展開する予定である。ARF6とArfbphlin/FIPに関しても、複合体の作製には成功しており、その結晶の作製が進行中である。
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