研究概要 |
細胞の分裂軸を一定の方向に配置する現象は、様々なモデル生物の発生の多くの局面で見られ、細胞分化や形態形成に必須であることが分かってきた。我々は、ヒト培養細胞のHeLa細胞において、インテグリン依存的に紡錘体を基質に平行に配置して分裂軸を制御する新しい機構を発見し、この機構における細胞膜脂質PI(3, 4, 5)P3の重要性を示してきた。本研究ではキナーゼのsiRNAライブラリーを用いて、HeLa細胞における紡錘体軸制御に関与するキナーゼのスクリーニングを行った。siRNAライブラリーは、791種のキナーゼ(human)に対してそれぞれ3種類のsiRNAを網羅するAmbion社のライブラリーを使用した。本年度は、1次スクリーニングと2次スクリーニングを行った。1次スクリーニングでは紡錘体の傾きを目視で3段階評価し、各サンプル30個以上分裂中期の細胞について解析した。その結果、31キナーゼが同定された。この31キナーゼについて2次スクリーニングを行うた結果、最終的に5種類のキナーゼが紡錘体軸制御因子として同定された。現在、これらのキナーゼの機能解析を行っている。
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