研究課題/領域番号 |
20058018
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 宏記 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60192689)
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研究分担者 |
熊野 岳 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (80372605)
西野 敦雄 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50343116)
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キーワード | ホヤ / 胚発生 / 細胞増殖 / 細胞分裂停止 / 発生運命 / 脊索 / 筋肉 / FGF |
研究概要 |
胚発生において、細胞の発生運命と細胞分裂回数は深く関わっていることが知られているが、本研究では、細胞の発生運命の決定・細胞分化と、細胞分裂停止までの細胞分裂回数との関係を、ホヤ胚を用いて解析する。 1. 発生運命と細胞分裂回数の関係 これまでの研究により、誘導物質であるFGFの有無により細胞の発生運命を制御できることがわかっている。予定脊索細胞はFGFにより誘導されると、その後3回の細胞分裂を経て分裂を停止する。しかし、FGFによる誘導がない場合はデフォルト運命である神経索に分化することがわかっている。FGFによる誘導を阻害した場合の予定脊索細胞の分裂回数を測定したところ、神経索細胞の分裂回数(5回)とほぼ同じ分裂回数に変更されることがわかった。よって、誘導による発生運命決定は同時にその後の細胞分裂回数をも決定していることがわかった。この系では、発生運命と細胞分裂回数が正確にリンクしている。 2. キー転写因子の役割 運命決定がなされた直後から組織特異的にキー転写因子群が発現するようになる。これらの因子と発生運命の因果関係はすでに明らかとなっているが、これらの因子が細胞分裂回数を制御しているかどうかはまだ未知の領域である。脊索で発現が開始するBrachyury遺伝子は、脊索分化を司るキー転写因子である。受精卵にBrachyuryアンチセンスオリゴを注入したあと、64細胞期に目的の割球を胚から単離し部分胚として発生させた。正常胚では、予定脊索は自律的に3回で分裂を停止し、8個の細胞からなる部分胚に発生するのに対し、Brachyuryアンチセンスオリゴを注入した胚は約25個の細胞に分裂してしまう。よって、Brachyury遺伝子は脊索の分化だけではなく細胞分裂回数のコントロールにも機能を果たしていることが示された。
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