研究課題
前年度までにリン酸化ペプチドの精製技術を確立した。21年度は細胞内リン酸化細胞周期の全過程の解析には少なくとも4点以上の定量が必要となるため、多検体間比較定量法を構築した。当初、一般的に質量分析計による定量法として安定同位体標識アミノ酸代謝標識法(SILAC)が主流であり、これを応用した多点定量法の構築を試みたが、使用できる培養細胞が限られるなどの欠点があるため、新規リン酸化定量プロテオミクス法であるphospho-iTRAQ法の構築を試みた。iTRAQ法は4種類,あるいは8種類の試料間の同時比較定量が可能であるため、細胞周期など時系列解析に適している。しかしながら、リン酸化の解析に適用する場合、試料の消化・リン酸ペプチドの精製後に標識を行うため、消化や精製過程での誤差が生じやすい。そこで、カゼインなどのリン酸化タンパク質を内部標準として各々の試料に少量添加することで、消化や精製の誤差を補正することを考案した。実際、実験過程で生じる誤差を内部標準由来のリン酸化ペプチドの定量値を用いて補正することが可能であった。本方法を用いて増殖因子刺激や細胞周期進行過程でリン酸化の変動を大規模に解析したところ、約10,000種類以上のリン酸化部位を同定・定量が可能であった。得られた新規細リン酸化の細胞周期制御上の意味を検証するため当該タンパク質の機能撹乱やリン酸化部位変異体の導入による細胞周期への影響の検討、さらに、細胞内局在や他のタンパク質との相互作用の細胞周期依存性等を横断的に解析している。
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http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/saibou/index.html