研究概要 |
ほ乳動物細胞において、フイセンス化因子Cdt1は、S期において2種類のユビキチンリガーセ(SCF^<skp2>とCu14-DDBl^<cdt2>)により分解される。一方、染色体のライセンス化は、M期終期からG1期初期に確立する。我々は、Cdt1はM期前中期に安定に存在することを見出した.この時、同様にSCF^<skp2>によって分解されるCDKインヒビターp27は、分解されるので、Cdt1を安定化する機構が存在し、これによ棚期が終るとすぐにライセンス化を確立できると考えている。そこで、M期におけるCdt1の安定化機構に注目し研究を行ない次のような結果を得た。 1) Cdt1タンパク質を細胞から分離できるようCdt1-FLAG安定発現細胞を構築した。内在性Cdt1と同様に細胞周期でのタンパク質量の変動が確認され、分解系が正常に機能していた。 2) この細胞をノコダゾール処理によりM期前中期に同調したのち、Cdt1-FLAGタンパク質をFLAGレジンで免疫沈降したところ、S期の場合と異なり、サイクリンA及びユビキチンリガーゼのCdt1認識サブユニットSkp2の結合が低下していることを明らかにした。 3) SCF^<skp2>が機能しているかどうか確かめるため、Skp2をサイレンシングしてノコダゾール処理したのち、p27タンパク質量を調べたところ, 安定に存在していたので、SCF^<skp2>は機能していることを確認した。 4) ノコロダゾール処理細胞よりCdt1-FLAGタンパク質を精製し. マススペクトロメトリーによりリン酸化部位を確認したところ、Skp2により認識される29番目丁及び31番目Sのリン酸が検出されなかった. 以上の結果より、Cdt1は、SCF^<skp2>から保護される機構があると結論した。
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