1. リボソームによるタンパク質合成の1分子イメージング リボソームの翻訳過程を1分子イメージングするための実験系を確立した。具体的には、リボソームの30Sサブユニットの一部にRNAループを遺伝子工学的に継ぎ足した変異体を用い、それに相補的なオリゴRNAを介することによってリボソームをガラス基板に固定した。次に、GFPをコードするmRNAにリボソームのトンネル部分の長さに相当するリンカーをつけ、さらに合成したタンパク質を解離させない強力なアレスト配列であるsecM配列を含んだmRNAを加えてタンパク質を合成させた。その結果、リボソーム上で1分子のGFPが合成される様子を1分子メージングすることに成功した。 2. シャペロニンによるタンパク質折りたたみの多分子解析 従来は、シャペロニンの反応サイクル中にはGroEL_<14>-GroES_7複合体(bullet型複合体)しか存在しないと考えられていた。この通説が正しいか検証するため、我々はGroEL_<14>-(GroES_7)_ 2複合体(football型複合体)が存在するかどうかを多分子計測系により解析した。このために、GroEL(E315C)変異体にドナーを、GroES(98C)変異体にアクセプターを結合させ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を蛍光分光光度計により測定した。その結果、シャペロニンの反応サイクル中に約50%のfootball型複合体が存在することを明らかにした。
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