研究概要 |
II型シャペロニンのタンパク質フォールディング反応のサイクルを、高速AFMにより直接とらえることを目的に、以下の実験を行った。 (1) 高速AFM装置の改良:高速AFM観察中の任意のタイミングで、試料溶液環境を変えることの出来る実験系の整備を行った。また、簡易的な蛍光観察設備を高速AFM装置に取り付けた。これにより、シャペロニン反応の瞬間を直接、拘束AFMにより捉えることが可能になった。 (2) 測定試料の準備:精製シャペロニン分子(KS-1chaperonin, Hsp60)を用いて、マイカ基板上に二次元結晶体試料を作製する際の実験条件の最適化を行った。 (3) KS-1chaperoninのATP依存的構造変化の1分子解析:(2)で作製した試料に、高速AFMによる1分子反応解析を行った。現時点では、高速AFM用温度制御装置が完成しておらず常温での測定となったが、ATPによるopen-closed構造変化らしき変化が観察された。 (4)Hsp60の構造観察:AFMによる構造観察からも、Hsp60がシングルリングの状態で存在する可能性が確認された。これは他のシャペロニン分子と大きく異なる構造的特徴である。
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