研究課題
申請者が同定に成功している細胞種特異的小胞体ストレスセンサーOASISおよびBBF2H7の機能をそれぞれのノックアウトマウスを用いて解析することで生体機能調節におけるタンパク質の品質管理の制御を明らかにするとともに、両ストレスセンサーが機能せず生じる小胞体タンパク質品質管理の破綻メカニズムの解明を目指した。その結果、以下の成果を得た。1. 小胞体ストレスセンサー欠損マウスの解析:膜貫通型転写因子であり、小胞体ストレスセンサーでもあるOASISおよびBBF2H7の生体内機能を調べるためそれぞれの遺伝子欠損マウスを作成した。OASIS欠損マウスでは骨形成異常が、BBF2H7欠損マウスでは軟骨形成異常が認められた。それら病変形成の分子機構を明らかにするため、主要な転写ターゲットをスクリーニングした結果、OASISは骨組織の主成分である1型コラーゲンを、BBF2H7は小胞体-ゴルジ間輸送に必須のSec23aを転写誘導することが明らかになった。以上の成果は、骨軟骨組織では小胞体ストレス下でOASISあるいはBBF2H7が基質タンパク質の合成あるいは分泌を促進させることで分化成長に寄与していることを示唆している。2. 小胞体ストレスセンサーOASISの脳内機能:OASISは脳損傷時にアストロサイトに発現する。アストロサイトにおけるOASISの機能を探るためにOASIS欠損マウスにカイニン酸を投与し神経細胞に損傷を起こさせた後の神経細胞やアストロサイトの反応について検討した。野生型マウスに比べOASIS欠損マウスでは海馬領域において反応性アストロサイトの増殖が悪く、海馬領域の神経細胞の脱落が顕著に認められた。このことは、OASISは神経細胞傷害時に活性化してアストロサイトを増殖させるとともに、神経細胞を傷害から保護する重要な因子などの放出に関わる可能性を示唆している。
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