研究課題
平成20年度の研究において、Hsp90の機能をゲルダナマイシンにより阻害すると、P bodyの形成が抑制されることが判明し、Hsp90のクライアントとしてeIF4Eと4E-Tの可能性が示唆された。そこで、本年度は、eIF4Eと4E-TのいずれかがHsp90のクライアントである可能性を追求することにした。まず、eIF4E及び4E-TがHsp90のクライアントであれば、ゲルダナマイシン処理によりそれぞれのタンパク質量が減少する可能性があるが、実際には減少は認められなかった。しかし、4E-Tのバンドが二本に分離する(本来のバンドの下にもう一本が現れた)ことが分かった。ラムダファージホスファターゼ処理の実験を行った結果、下のバンドは非リン酸化型の4E-Tであることが判明した。次に、eIF4Eと4E-Tの相互作用がゲルダナマイシン処理により変化していないかをMyc-eIF4Eを強発現させたHeLa細胞を用いて検討した。ゲルダナマイシン処理の有無によりMyc抗体で免疫沈降を行い、それに結合している内在性の4E-Tの量を比較したところ、有意な差は認められなかった。次いで、P bodyとは異なるRNA顆粒であるストレス顆粒の形成にゲルダナマイシン処理がどのような影響を与えるかを検討した。その結果、非常に興味深いことに、ストレス顆粒の大きさと細胞内局在に変化があるものの形成自体は影響を受けなかったが、eIF4Eと4E-Tが選択的にストレス顆粒から消失した。更に、eIF4Eの5'キャップ結合能はゲルダナマイシン処理により変化しなかったが、eIF4Eと結合するeIF4Gが顕著に減少した。以上の結果、eIF4Eが4E-Tと共にストレス顆粒からなくなることと、eIF4EとeIF4Gの相互作用が減少することから、Hsp90がeIF4Eの生理機能発現に深く関わっているものと推察された。
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