シロイヌナズナのapm7変異体は、ペルオキシソームへのタンパク質輸送変異体として単離され、その原因遺伝子はペルオキシソーム形成因子群(PEROXIN; PEX)の1つであるPEX4であることを明らかにしている。このPEX4タンパク質の1次構造は、ユビキチン系のE2酵素として機能するUBC(Ubiquitin-conjugating)酵素に相同性があることが分かっていたが、植物ではその活性は見いだされていない。申請者は、昨年度までにRabbit reticulocyte lysateの結果からin vitroではPEX4がUBC活性をもつこと、apm7変異はその活性に影響を与えないことを明らかにしている。本年度は、in vivoにおける状況を明らかにするために、野生型および変異型PEX4をapm7変異体で発現させ、表現型が回復するか確認した。その結果、in vivoでもPEX4に依存したUBC活性がペルオキシソームタンパク質輸送に必須であること、apm7変異体では野生型とは異なるユビキチン化が起こっていることが明らかとなった。加えて、PEX4の細胞内局在性を明らかにするために、一過的発現実験を行ったところ、PEX4単独ではサイトソルに局在するが、PEX22と共発現させることによりペルオキシソーム膜と考えられる粒状の構造へと局在することが明らかになった。 また、ユビキチン系のE2からE3へのユビキチンの受け渡しにおけるapm7変異の影響を明らかにするために、野生型および変異型のPEX4をヒスチジンタグ融合タンパク質として、E3酵素として考えられるPEX2、PEX10、PEX12のRING finger領域をマルトース結合タンパク質との融合タンパク質として発現させ、再構成実験を試みている。
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