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2009 年度 実績報告書

核内NF-κB制御因子IκB-ζによる自己応答制御とその異常

研究課題

研究課題/領域番号 20060002
研究機関東北大学

研究代表者

牟田 達史  東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (60222337)

キーワード遺伝子欠損マウス / nuclear factor-κB / 転写制御因子 / IκB-ζ / 慢性炎症 / 自然免疫 / 獲得免疫 / ケラチノサイト
研究概要

研究代表者らが独自に発見し、解析を進めているIκB-ζは、様々な微生物由来の自然免疫刺激物質によって発現誘導され、核内で転写因子Nuclear Factor-κBと結合する、炎症応答制御の鍵を握る分子である。本研究では、IκB-ζ遺伝子欠損マウスで自然発症する慢性炎症の原因について、昨年度に引き続き、解析を進めた。
IκB-ζ遺伝子欠損マウス皮膚の炎症部位について、免疫抗体法を用いて解析を行ったところ、CD4陽性のTリンパ球、B220陽性のBリンパ球の激しい浸潤が観察された。このうち、CD4陽性T細胞のサブクラス同定を目的として、IκB-ζ遺伝子欠損マウスの炎症部位における各種Th細胞が産生するサイトカインについてそのmRNAの定量を行った。結果、炎症部位では、interferon γ、interleukin 4、17mRNAが野生型マウスと比較して、上昇していることが観察され、Th1、2、17細胞の浸潤が示唆された。このうち、interleukin 17については、IκB-ζ遺伝子欠損マウスでは、炎症発症前の組織でも発現上昇が観察され、その病因との関連が疑われる。また、表皮に存在するケラチノサイトにおけるIκB-ζの発現について検討したところ、真皮層の培養上清刺激に伴ってIκB-ζの発現が観察された。この応答は、IκB-ζ欠損マウス由来の真皮を用いた場合でも同様に観察されたが、細胞内シグナリングアダプター分子であるMyD88を欠損したマウスより調製したケラチノサイトでは、著しくその発現が抑制された。従って、皮膚のような組織では、真皮に存在する細胞と表皮のケラチノサイトの間で、内因性リガンドを介したクロストークが存在し、ケラチノサイトにおけるIκB-ζの発現を介した恒常性維持機構が存在すること、こうした自己由来分子に対する応答機構の異常によって、慢性炎症が自然発症することが明らかになった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] MAPK-activated Protein Kinase 2 Differentially Regulates Plasmodium falciparum Glycosylphosphatidylinositolinduced Production of Tumor Necrosis Factor-α and Interleukin-12 in Macrophages2009

    • 著者名/発表者名
      Zhu, et al.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry 284

      ページ: 15750-15761

    • 査読あり
  • [学会発表] 誘導型転写制御因子IκB-ζにる炎症応答制御とその破綻にり自然発症する慢性炎症2009

    • 著者名/発表者名
      牟田達史
    • 学会等名
      第82回日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2009-10-24
  • [学会発表] 誘導型転写制御因子IκB-ζによる炎症応答における選択的遺伝子発現機構2009

    • 著者名/発表者名
      牟田達史
    • 学会等名
      第8回四国免疫フォーラム
    • 発表場所
      高松
    • 年月日
      2009-06-27
  • [学会発表] IκB-ζ遺伝子欠損マウスにおける慢性皮膚炎の発症機序の解析2009

    • 著者名/発表者名
      大熊敦史, ら
    • 学会等名
      第6回東北大学バイオサイエンスシンポジウムおよび第14回学際ライフサイエンスシンポジウム
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2009-06-16
  • [学会発表] 自然免疫による感染微生物に対する認識・応答とその制御の分子機構2009

    • 著者名/発表者名
      牟田達史
    • 学会等名
      第32回日本血栓止血学会学術集会
    • 発表場所
      北九州
    • 年月日
      2009-06-04
  • [備考]

    • URL

      http://www.biology.tohoku.ac.jp/lab-www/muta_lab/index.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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