研究課題
CD45は免疫細胞に発現する膜型フォスファターゼであり、リンパ球の分化増殖に重要な機能を担っている。CD45のフォスファターゼ活性化がどのように制御されているかについては長年議論が続いている。一方、T細胞の活性化に重要な機能を担う抗原提示細胞には様々な免疫制御分子が発現しており、T細胞の活性化制御に深く関わっている。我々は、抗原提示細胞に発現する免疫制御分子としてPILRを同定した。PILRは細胞内領域に抑制化シグナルを伝達するITIM配列を持った細胞表面分子である。我々はPILRの解析により、可溶型CD45が抑制化レセプターPIERに特異的に会合することを発見した。そこで、本研究では、PILRによるCD45の機能制御がT細胞の自己認識制御にどのように関与しているかを解明し、新たなT細胞自己応答制御機構を解析した。その結果、抗原提示細胞の発現するPILRがT細胞の増殖を顕著に誘導することが明らかになり、PILRによるCD45の機能制御がT細胞応答制御に重要であることが判明した。また、新たにCD11c陽性、CD11b陽性細胞中にPILRを発現する新たな樹状細胞サブセットが存在することが明らかになった。興味深いことに、PILR発現樹状細胞は、CD4陽性細胞からのIL-17産生誘導能が他の樹状細胞より高いことが判明した。以上より、PILRとCD45の相互作用は、T細胞の活性化制御に重要な機能を担っていると考えられた。
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